映画を愛して、映画大好きだからこそ!
勝手気ままな感想を書かせてもらってます♡♡
映画好きな方も、あまり観ない方も
ご参考までに(*´∀`*)
「野火」
4K(1959年製作)
終戦80年企画
2025年8月1日公開(105分)
大岡昇平の実体験小説を
市川崑が撮った反戦映画の傑作。
第2次世界大戦末期の
フィリピン・レイテ島。
日本の敗戦が濃厚となるなか、
肺病を患った一等兵
田村(船越英二)は
部隊から追い出され、
病院でも食糧不足を理由に
入院を断られてしまう。
病院の前で、田村は同じく
厄介者として見放された
若い兵士・永松
(ミッキー・カーチス)や、
足を負傷し歩けなくなった
中年兵・安田と出会う。
飢えに駆り立てられるように
熱帯のジャングルを
さまよう田村は、
道中で出会った別の部隊と
行動を共にするが、
米軍の一斉砲撃により
他の兵士が全滅してしまい。。。。。
これまで見てきた戦争映画の
美学的な部分をそぎ落とした
衝撃のリアリティ作品。
兵隊の鉄砲は、
米兵を打つことは無く、
フィリピンの
住民や猿(仲間)を打ち、
手りゅう弾は魚を捕るためにしか
使われていない。
ある意味、滑稽であり、
戦争の現実のおろかさを
表現している。
極限状態におかれた
兵隊たちが闘っているのは、
空腹と病気だけ。
逃げて、生き延びることが
目的になった時、
兵隊は誰とも
戦っていなかった。
それが現実だろう。
これは実際にフィリピン戦線にいて、
米軍捕虜になった
大岡昇平の事実小説であり、
当然のようにカニバリズムが
描かれている。
平原や崖に並ぶ無数の死体、
そして死んだ兵士の靴を取って、
ボロボロの自分の靴と
履き替えるシーン、
塩を盗むエピソードも
見てはいられない。
監督は、
「ビルマの竪琴」「おとうと」
「犬神家の一族」などの名匠・市川崑。
脚本は
彼のパートナーである和田夏十。
音楽は芥川也寸志と
最高のスタッフが関わる。
国内はもちろん、
ロカルノ国際映画祭グランプリ
など多くの賞を受賞。
フィリピン語のシーンでは
字幕がなく不気味。
主演の船越英二は、
MR.2時間ドラマの
船越英一郎のお父さん。
視点が定まらない演技は
衝撃的。
敗退する戦士たちが
ゾンビの行軍に見える作品は、
戦後80年に関係なく
見るべき作品。
「野火」とは、
春先に枯れ草を焼くことで、
彼は、
最期にそこに向かって歩く。
彼が一線を越えたのか、
映画で確認して欲しい。
2015年の塚本晋也監督版
「野火」も見てみたい
コメント