映画を愛して、映画大好きだからこそ!
勝手気ままな感想を書かせてもらってます♡♡
映画好きな方も、あまり観ない方も
ご参考までに(*´∀`*)
「ナミビアの砂漠」
(PG-12)
2024年9月6日公開(137分)
河合優美主演で
現代若者の
渇きを描いた
青春ドラマ。
21歳のカナ
(河合優美)
にとって
将来について
考えるのは
あまりにも
退屈で、
自分が人生に
何を求めている
のかさえ
わからない。
何に対しても
情熱を持てず、
恋愛ですら
ただの暇つぶしに
過ぎなかった。
同棲している
恋人ホンダ
(寛一郎)は
家賃を払ったり
料理を
作ったりして
彼女を
喜ばせようとするが、
カナは自信家の
クリエイター、
ハヤシ
(金子大地)との
関係を深めて
いくうちに、
ホンダの存在を
重荷に感じる
ようになる。。。。。
こじらせ女子の
範疇を大きく
超えた
クセツヨ女を、
令和のアイコン
河合優美で見せる
シュールなドラマ。
優しい男二人を
二股かけ、
ホストクラブに通い、
鼻リングをし、
脱毛サロンで
働く彼女は、
つかみどころの
ない人間。
特に後半は、
完全に壊れて、
意地悪で嘘つきで
暴力的になる。
そして携帯で、
南アフリカに近い
ナミビアの
砂漠で水を飲む
キリンやガゼルの
シーンを見るのが
好き。
友達の話を
喫茶店で
聞いているのかと
思いきや、
隣のテーブルの
男性が喋る
ノーパンしゃぶしゃぶの
話題に聞き耳を
立てている。
あまりに
シニカルな
シーンであり、
もしかすると
若い人には
突き刺さるのかも。
筆者には、
同系列なら、
「愛に乱暴」
の方が
わかりやすかったが、
何事も
縛られたくない
若い世代には、
夢を追うだけの
青春映画にあえて
アンチを示したい
のだろう。
監督は、
初監督作品で
ベルリン高評価の
中山瑶子。
そして主演は
飛ぶ鳥を落とす
勢いの河合優美。
2人の
ボーイフレンドに
「サマーフィルムにのって」
「52ヘルツのクジラたち」
の金子大地。
そして
「せかいのおきく」
の寛一郎。
二人とも優しく、
尽くす男。
小悪魔的を超越した
壊れた女性を
見たい方、
先の見えない
現代に反旗を
翻したい方には
お薦めする作品。
彼女はあこがれの
ナミビアに
行くのだろうか?
今年の
カンヌ映画祭の
国際映画批評家
連盟賞受賞の作品は、
河合優美を
見たいなら、
是非劇場で。
コメント
この映画の、こちらの紹介記事を読みましたが、まずわたしが思うのは、「この映画は、ストーリーを追ってはいけない」というものです。
それは、題名に「ナミビアの砂漠」となっている事でわかります。
ナミビアの砂漠の定点カメラを、カナが時々見ていますが、定点カメラで映るものにストーリーはありません。水飲み場にくる動物をただ観察するのみ。この感じで、カナをただ観察する映画だと捉えると、めちゃめちゃ面白いし、笑える映画ですらあります。定点カメラとの違いは、絵の切り取り方、カナを映す絵づくりの斬新さでしょう。
山中瑤子監督も、プレミア上映の舞台挨拶の質問の中で、縦4対横6のスタンダードビジョンの映画である理由として、カナに集中して見てほしいという意図を挙げられていた事からもわかります。カナ自身がいろんな事に気持ちが動く(例えば、冒頭の喫茶店のノーパンしゃぶしゃぶの話が気になる点など)ので、観客にはカナに集中をして欲しいと。
最後の方、ピンクの部屋がワイプインする部分、あれこそが自分で自分を定点カメラで俯瞰した視点で見つめている、冷めた自分を表現していますね。
そして、その後の激しい喧嘩の後に二人でチャンポンを食べるしーんがありますが、その部屋が、その前の部屋とすべてのレイアウトが反転していた事に気づきましたか? 白と黒の太陽の塔から総ての部屋の調度や置物まで、すっかり反転して配置されていますが、文字はちゃんと読めるので、わざわざ反転した間取りの部屋にすべてのモノを反転配置して撮っています。 ここの意味というか表現したかった部分については、山本監督が話されている記事が無いし、ほとんどの人が気づいてないようなのです。
とはいえ、彼女のこころの移り気で、まわりの人が巻き込まれるところに流れはあり、 そして彼女のその場の移り気に翻弄される男二人が、カナをいろいろと理解しようと努力し、真摯かつ誠実に、何とか関係を保とうとしているのに、カナの発する言葉の中には、ひとかけらの真実がない。 にもかかわらず、男の方は、心が通い合っていると信じていて、カナは「こんな女性なのだ」と、自分の信じる「偶像」であるカナとの関係を保とうと努力しているその姿は、まったく笑える以外ない。
はて?ここで男が勝手に女性を自分の「偶像」として捉え、自分の思う関係性を女性に求めている映画が、今上映中であることに思い至る。 そう、「スオミの話をしよう」だ。
あの映画も、従来の三谷幸喜の映画同様、伏線があって最後に伏線の回収がある事を期待し、最後のオチが無かった事に対する批判というか落胆で、評価が最悪の状態だ。 しかし、このスオミの映画も、ナミビアの砂漠同様、ストーリーを追わず、スオミを観察する映画として見ていくと、こんな女性がいる事によって巻き起こされる、男性の愚かさや偶像をあてはめたい気持ちなど、いかに男女の関係のおもしろさが見えてくる。 そもそも、男女の間でお互いを本当に理解できるなどとは思ってはいけないのかもしれない。お互い誤解や偶然を勝手に自分に都合よく解釈して、ズレているにもかかわらず、うまくやっている。。。そういうのが本当の男女関係なのかもしれない。
意外にも、「ナミビアの砂漠」と「スオミの話をしよう」のテーマの共通性を感じてしまった私です。
この映画、河合優実さんは、とってもカッコイイ映画だと言い、おそらく一番好きな映画だと公言して憚りません。 こういうストーリーの妙を見せるのではなく、ただ一人の人間の面白さを見せていくのが、今の映画の流行りのようです。 これからそういう映画がたくさん作られるようになるのだと思います。だからこそ、AEONシネマのようなメジャーな映画館全部で上映される事になった理由だと思われます。
先ほどのコメントの中、まちがえました、TOHOシネマズでの公開でした。
そーだ、書き忘れていた。
あのエステクリニックのシーン、アホな若い客二人を店長がいいくるめて施術室である二階に上がっていくシーン、カナが後ろをついて上がっていくだけのシーンで、何も一言もセリフもなく、特に何かしているわけでもないのに、河合優実の全身から、「バッカじゃないの!こんな意味ないエステにお金出して!あほくさ~」という言葉が発せられているかのようです。
ここ、めちゃくちゃ笑ってしまいました。爆笑です。