映画を愛して、映画大好きだからこそ!
勝手気ままな感想を書かせてもらってます♡♡
映画好きな方も、あまり観ない方も
ご参考までに(*´∀`*)

「遠い山なみの光」
(日英・ポーランド合作)
2025年9月5日公開(123分)
カズオ・イシグロの
小説を映画化した
ミステリー調作品。
1980年代、
イギリス。
日本人の母とイギリス人の
父の間に生まれ
ロンドンで暮らす
ニキ(カミラ・アイコ)は、

大学を中退し作家を
目指している。
ある日、
彼女は執筆のため、
異父姉が亡くなって以来
疎遠になっていた実家を訪れる。
そこでは夫と長女を亡くした
母・悦子(吉田羊)が、

思い出の詰まった家に
ひとり暮らしていた。
かつて長崎で原爆を経験した
悦子(広瀬すず)は
戦後イギリスに渡ったが、
ニキは母の過去について
聞いたことがない。

悦子はニキと数日間を
一緒に過ごすなかで、
近頃よく見るという
夢の内容を語りはじめる。
それは悦子が1950年代の
長崎で知り合った佐知子
(二階堂ふみ)という女性と、
その幼い娘(鈴木碧桜:みお)の
夢だった。。。。。

ノーベル文学賞の
カズオ・イシグロ原作の
記憶にまつわる文芸作品。
子供には、幸せだったと、
親はついつい嘘を
ついてしまうのだが、
ニキは悦子の嘘を
見抜いてしまう。

ミステリー展開だけに
2時間はあっという間で、
ラストに仰天びっくり。
広瀬すずがとにかく清楚で
美しく撮られている。
そして、
もう一人の自分でありながら、

正反対にお見える
二階堂ふみは妖艶で、
魅力的な女性。
しかし、
彼女はアメリカに行く夢のため、
娘の子猫を水没死させる。
こういう記憶は絶対に
忘れられないもの。

悦子の夫(松下洸平)は、
妻が「被ばくしてなかった」
と安堵する。
しかし、
実際は被爆していたのではと、
最近、
映画「黒い雨」を見たばかりの
筆者には思えてならない。

夫の父に三浦友和。
息子とはうまくいかない
古い頭の持ち主。
ただ、
「変わること」の
必要性はわかっていた。
子役の鈴木碧桜は、
どこか暗闇を抱えた少女で、

戦後7年目にはこんな
子供だらけだったと想像できる。
将来期待される子役。
吉田羊は、
ほぼ英語のせりフで、
発音も素晴らしく
絶賛したい。

監督は、
「ある男」の石川慶。
鑑賞後に「(嘘ではなく)
歴史の語り直しの物語」と
伝える意味がよくわかる。

あるいは戦後の女性の
めざめを描いていたのかも。
カンヌのある視点部門の後、
上海、ロンドン、トロントなどの
各映画祭で上映されたが、

外国人に長崎の物語が
どこまで伝わったのかは、
わからない。
子供の頃、子猫を飼いたいのに、
親にダメと言われた人、
親の過去を知りたい人、
家族関係がぎくしゃく
している方には
超お薦めする良作。

原題は
「A pale view of hills」
(淡い、薄暗い丘の景色)。
30年前の記憶のことを
現しているのだろう。
日本人として見るべき作品。
お薦めです。



コメント
この映画は、私にとってレクイエムのような特別な映画になりました。
私の母は、長崎で被爆し、叔母は原爆で亡くなりました。私は被爆2世です。福山雅治さんも言っていましたが、子どもの頃、周りはみんな殆どそうでした。
小さい頃、暑い夏になると、母が悪夢を見てうなっているのを見ていました。
大人になって、これは、PTSDの症状だったのだとわかりました。
母は結婚するときに自分が被爆者とパートナーとその親に打ち明けられなかったも話してくれました。そして、自分は結婚できないと思っていた、ましてや子どもを産めないと思っていた。だから子どもが生まれて嬉しかったと話してくれました。
戦争の被害に遭い、放射能の後遺症を恐れ、偏見に苦しんだ被爆者たちの心情を手に取るように感じました。そんな中から希望を捨てずに、変化していった人たちの勇気と、
生き抜いてきたたくましさに感謝しかありません。
今は亡き母に合掌
コメントありがとうございます。お母様は、それは辛い経験をなされましたね。吉田羊が、悪夢にうなされるシーンは、見てられなかったのでは?世界中の人が、本作をレクイエムと捉えて、平和の有難さに気づいてくれることを切望します